従来比約2倍のねじ効率を実現。高精度小径すべりねじを採用した開発の裏側とは?

  • 製作事例

医療機器分野で高い技術力を持つ岩手発ベンチャー

株式会社アイカムス・ラボ様は、岩手大学発のベンチャー企業として創業。

マイクロアクチュエータとその応用製品の開発・製造・販売を主軸とし、設計、製造から出荷までの受託開発にも対応しています。また、高精度軽量電動ピペット『Pipetty』、コードレス電動ディスペンサー『Tofutty』などの自社製品も開発・販売しております。

そのマイクロ機構技術を活かして、未来の価値ある製品・技術を開発しています。

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開発製品の紹介|医療向けに開発した高精度・高効率のカスタムユニット

薬剤投与ユニット

アイカムス・ラボ様が開発した薬剤投与ユニットについて

株式会社アイカムス・ラボ様が開発したのは、多様な粘性の薬剤に対応し、一定速度での吐出を可能にする「薬剤投与ユニット」です。

サイズは110×22×16mmとコンパクトながら、最大250N以上の高推力を実現しました。

本製品には、同社のマイクロアクチュエータを活用した押し出し方式が採用されており、カートリッジに充填された薬剤を高精度で投与できます。

医療用途での使用を想定し、液体の性質に合わせた吐出スピードの調整と、一定速度での吐出が可能です。

 

高効率の小径すべりねじが必要だった理由

薬剤投与ユニットでは、高精度かつ安定した吐出が求められました。特に医療用途を想定する製品の設計上、コンパクトなユニット内で安定した推力と効率を実現する必要がありました。

従来のすべりねじではロスが多く効率が低かった点がボトルネックとなっており、ねじ効率の高い製品の選定が重要なポイントとなっていました。

 

三和ニードル・ベアリングへの依頼理由

本製品には、従来のすべりねじでは対応できない高いねじ効率が求められていましたが、もともと使っていた他社製のすべりねじでは、目標としたねじ効率に届きませんでした。

そこで、より高効率なねじを探し、他社にも相談したのですが、なかなか難しいという回答が多く…。

 

そのような八方塞がりの状況下で、三和ニードル・ベアリングはオーダーメイドで対応できるとのことで、一度お話をお伺いすることになりました。

何度も打ち合わせを重ねていき、少量ロットでの依頼だったにもかかわらず、柔軟に対応いただけたのもありがたかったです。仕様に応じて最適な加工方法をご提案していただけたのも印象的でした。

また、カスタマイズ仕様での依頼だったため、三和ニードル・ベアリングにとっても初めての対応が多かったかと思います。

そのような状況の中でも、当社としては高い品質を維持した製品の提供を強く要望しており、品質基準の取り決めには特に注力しました。

 

カスタム製品であるがゆえに、どのように品質を定義・担保していくかは非常に難しい部分でしたが、両社で何度も打ち合わせを重ねることで、一つひとつ丁寧に進めることができました。

 

従来比約2倍となる、動力伝達効率42.2%の達成

開発したすべりねじでは、従来品の約2倍となる42.2%という動力伝達効率を達成できました。これまで使用していたものが約20%だったので、大きく性能が向上しており、目標としていた30%を大きく上回り社内でも非常に評価されました。

評価試験の段階では、安定性や長期間の使用における性能維持について重点的に見ていましたが、実際にユニットとして運用してからも大きな問題はなく稼働しており、非常に満足しています。

お客様からのフィードバックも良好で、製品としても一定速度での吐出が可能な点が特に高く評価されています。

 

最後に、今後の展望について教えてください。

今回のプロジェクトを通じて、高効率かつコンパクトな製品の可能性を実感しました。

今後は、本製品のコア技術をもとに多方面へ新製品を展開していきたいと考えています。新しく開発する製品に対して組み込まれるすべりねじとして今後もご相談したいです。

同様に高効率なすべりねじを重視する必要がある製品にとって、今回の事例はひとつの参考になるのではないかと思います。

 

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