妥協なき超高精度で検査工数を削減し、モノづくりを効率化した製作事例
- 製作事例
精密な制御性能が求められるセンサ製品を手がけるエヌエスディ株式会社。
回転型・直線型センサの性能を左右する重要部品の加工において、品質のばらつきや検査工数の増大という課題に直面していました。
その課題を解決するため、高精度な量産加工と品質安定化に強みを持つ三和ニードル・ベアリングに加工依頼を。
本記事では、精密加工によって検査工程を見直し、品質と生産性の両立を実現した取り組みと、センサメーカーのものづくりを支える現場改善の裏側をご紹介します。
| 会社名 | エヌエスディ株式会社 |
| 業界 | メカトロニクス機器開発製造 |
| 取組内容 | 独自構造の位置検出センサを設計・製造 |
| 会社HP | https://www.nsdcorp.co.jp/ |
エヌエスディ株式会社について
エヌエスディ株式会社は名古屋市に本社を置き、メーカー事業、ODM事業、商社事業の総合力で事業を展開しています。
メーカー事業では、お客様のニーズに合わせたカスタム対応のセンサを中心に開発。産業用センサと制御機器を研究・開発・製造・販売しています。
一方、商社事業では、電子部品や機械部品に関わるさまざまな部品や製品を取り扱い、顧客ニーズに応じた柔軟な提案を行っています。こうしたメーカーならではの技術力や、商社ならではの対応力を組み合わせることで、顧客に最適なソリューションを提供しています。
エヌエスディ様の取り組みと開発製品のご紹介

エヌエスディ様は、産業機械や生産設備の高度化が進む中で欠かせない存在となっている回転型・直線型センサの開発・製造を手がける企業です。
製造現場の自動化や高精度化が求められる現在、「正確に測る」「安定して検知する」ことは、装置全体の性能や信頼性を左右する重要な要素となっています。
そうした産業界のニーズを背景に、単なるセンサメーカーではなく、現場で使われ続けることを前提としたものづくりに取り組んできています。
ここでは、エヌエスディ様の具体的な取り組みについて解説します。
- なぜ回転型・直線型センサが必要とされているのか
- エヌエスディ様が着目した課題解決の方向性
なぜ回転型・直線型センサが必要とされているのか
回転型・直線型センサは、モーターの回転角度や位置、直線移動量などを高精度に検知するための重要な部品です。
工作機械、搬送装置、産業用ロボット、検査装置など、幅広い分野で使用されており、わずかな位置ズレや検知誤差が、製品品質や安全性に大きく影響します。
特に近年は、生産ラインの高速化や無人化が進み、センサには「止まらないこと」「狂わないこと」「個体差が少ないこと」といった、長期的な安定性と再現性がこれまで以上に求められるようになっています。
エヌエスディ様が着目した課題解決の方向性
こうした現場の要求に対し、エヌエスディが重視してきたのは、検査で補正する品質ではなく、設計と加工段階で作り込む品質です。
ばらつきを後工程で見つけて調整するのではなく、そもそもばらつきが生じにくい構造・加工精度を追求する。この考え方が、同社の製品開発の根幹にあります。
設計・製造・検査までを一貫して捉え、センサ性能を左右する内部部品の精度と安定性に徹底的に向き合ってきました。このように取り組まれているエヌエスディ様の開発製品としてあげられるのが「耐環境性に優れたアブソリュート方式の位置検出センサ」になります。
耐環境性に優れたアブソリュート方式の位置検出センサ

エヌエスディ様が開発した位置検出センサ「アブソコーダ」は、独自の原理と構造を持つアブソリュート方式エンコーダです。
電源を切っても位置情報を保持できる特長に加え、熱・水・衝撃・振動といった悪環境下でも安定して動作する高い耐環境性を備えています。
素材選定、設計、品質管理に徹底的にこだわった同製品は、鉄鋼、自動車、水門など、厳しい使用条件が求められる分野で採用され、ロングセラー製品として評価されています。
今回、三和ニードル・ベアリングが関わるのは、このセンサに欠かせない「シャフト」と「スペーサ」といった内部精密部品になります。
同社が抱える開発における課題とは?

高精度な回転型・直線型センサへのニーズが高まる一方で、その性能を量産レベルで安定して実現することは、決して容易ではありませんでした。
エヌエスディ様が直面していたのは、センサ性能の要となる内部部品を「設計通りの精度で、再現性高く加工し続ける」ことの難しさです。
特に課題となったのが、微細かつ高精度を要求される金属部品の加工工程でした。回転型・直線型いずれのセンサにおいても、内部部品の精度やばらつきは、そのまま検出性能や信頼性に直結します。
- 課題① センサ性能を左右する微細部品の高精度加工が必要
- 課題② 直線型センサにおける非磁性体スペーサの寸法安定化の難しさ
課題① センサ性能を左右する微細部品の高精度加工が必要

画像:エヌエスディ株式会社の開発製品「回転型センサ」
回転型・直線型センサの精度は、内部に組み込まれる部品一つひとつの寸法精度・真円度・表面状態によって大きく左右されます。
μm単位のわずかな加工誤差や個体差であっても、検出精度の低下や信号のばらつきにつながり、センサ全体の信頼性に影響を及ぼします。
とくに問題となったのが、回転型センサの軸となるシャフト部品です。
シャフトは、回転型センサの中心部に組み込まれる主要部品であり、外径寸法の高い精度が求められるだけでなく、ゴムシールが接触する部位でもあるため、加工面の品質が防水性能にも直結します。
しかし、シャフトに使用されるオーステナイト系ステンレス材は、キズや打痕が発生しやすい素材です。
さらに段付き形状であることから加工難易度も高く、従来は加工時に発生する微細な傷が、歩留まりの低下や全数検査の増加といった課題を引き起こしていました。
図面上は同じ仕様であっても、加工条件や工具、ノウハウの違いによって精度が安定せず、量産時のばらつきが避けられない状況が続いていたのです。
課題② 直線型センサにおける非磁性体スペーサの寸法安定化の難しさ

画像:エヌエスディ株式会社の開発製品「直線型センサ」
高精度な加工が求められる一方で、エヌエスディ様が求める水準の精度と品質を、量産においても安定して再現できる加工企業は限られているのが現実でした。
試作段階では対応できたとしても、継続的な量産や品質の再現性まで含めると、「対応可能」と言える企業は多くありません。
さらに、センサ用途ならではの厳しい品質基準に対し、設計意図を正しく理解し、改善提案まで含めて向き合える体制が求められていました。
この課題は、直線型センサに使用されるスペーサ部品において、より顕著に表れていました。直線型センサは、検出部を磁性体と非磁性体で交互に組み合わせて構成されます。
その際、コア部に使用されるスペーサの長さ方向の寸法精度が、センサ性能に直接影響します。
磁性体については材料特性を踏まえた工夫により、寸法精度を一定に保つことが可能でしたが、非磁性体は同様の方法が通用せず、寸法ばらつきが発生しやすい部品でした。
その結果、従来は選別や組み替え作業が必要となり、工程負荷や品質安定性の面で課題を抱えていたのです。
三和ニードル・ベアリングへの依頼理由と改善に向けた取り組み

ここからは、実際のインタビュー内容をもとに、エヌエスディ様の視点でご紹介します。
依頼前に抱えていた大きな課題は、センサ性能を左右する精密部品の品質を安定させることでした。
特に、回転型・直線型センサに使用される金属部品では、加工精度のわずかなばらつきが製品性能に直結するため、外観品質や寸法精度の不安定さが無視できない問題となっていました。
部品によっては、加工時に発生する微細なキズや精度のばらつきにより、受入検査や組立工程での調整・選別作業が必要となり、品質面だけでなく工数増加や生産効率の低下にもつながっていたのです。
こうした状況を改善するため、精密加工分野で豊富な実績を持ち、安定した品質管理体制を有する加工パートナーを探す中で、当時から商社事業で繋がりのあった三和ニードル・ベアリングへの相談に至りました。
高精度加工を前提にしたものづくりと、品質に対する考え方が合致している点が、依頼の決め手となりました。
- 圧倒的な品質管理と加工技術により工数の削減に
- 取り組みの感想
圧倒的な品質管理と加工技術により工数の削減に
三和ニードル・ベアリングに加工を依頼してから、部品品質は大きく改善しました。
加工精度が安定したことで、これまで課題となっていた寸法ばらつきや外観不良が大幅に減少し、受入検査や組立工程での調整・選別作業を削減することができています。
その結果、センサ組立時の作業負担が軽減されただけでなく、製品全体の品質安定化と生産性向上にもつながりました。精度を一部の経験や感覚に頼るのではなく、量産工程の中で再現性ある品質として実現できた点は、大きな成果だと感じています。
取り組みの感想
実際に三和ニードル・ベアリングと取り組む中で特に印象的だったのは、単に図面通りに加工するだけでなく、課題に対して主体的に改善提案を行っていただけた点です。
加工途中で想定されるリスクや精度面の懸念についても事前に共有があり、その都度最適な加工方法を一緒に検討できたことが、信頼につながりました。
今後は、現在の品質水準を維持しながら、さらなる精度向上や工程の効率化を進めていきたいと考えています。
また、今回の取り組みで得られた知見を活かし、他のセンサ部品や類似製品への展開も視野に入れており、その際には引き続き三和ニードル・ベアリングにご相談できればと考えています。
まとめ|精度を前提にしたものづくりが、次の価値を生む

今回の取り組みを通じて、センサ性能を支える精密部品においては、「高精度で加工できること」だけでなく、「その精度を安定して再現できること」が、製品価値を左右する重要な要素であると改めて実感しました。
品質を後工程で調整するのではなく、加工段階から作り込む。その考え方を共有できるパートナーとの協業が、製品の信頼性向上と生産性改善の両立につながっています。
三和ニードル・ベアリングでは、今回の事例以外にも、難易度の高い技術課題に挑戦する協業事例が紹介されています。ものづくりの可能性を広げる取り組みにご興味のある方は、ぜひ以下の事例もあわせてご覧ください。