医療機器で用いられる精密部品の金属加工の種類と注意点を解説

  • 部品加工

医療機器に使用される金属部品は、わずかな寸法誤差や表面品質の違いが、製品性能や安全性に直接影響する分野です。特に、ステンレスやチタン、各種難削材を用いた精密部品では、材料特性を正しく理解したうえで、加工方法・工程設計・品質管理を総合的に検討する必要があります。

本記事では、医療機器の金属加工に用いられる代表的な部品や加工技術、材料特性の考え方、設計・量産時の注意点について解説します。

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医療機器部品の金属加工とは?

医療機器部品の金属加工とは?

医療機器に用いられる金属部品は、体内・体外を問わず厳しい使用環境にさらされます。精度・耐久性・清浄性を同時に満たす必要があり、一般工業製品とは異なる設計・加工思想が求められます。

  1. 医療機器向け金属部品の特徴
  2. 使用される主要材料の特性
  3. 医療機器部品に求められる規格と精度要求

医療機器向け金属部品の特徴

医療機器向け金属部品は、精度が安全性に直結する特徴があります。例えば、可動部を持つポンプや検査装置、精密位置決め機構では、ミクロン単位の寸法誤差が作動不良や測定精度の低下につながる可能性があります。

また、長時間の連続稼働や繰り返し動作に耐えるため、寸法精度だけでなく真円度・円筒度・表面粗さといった形状精度の管理も重要です。さらに、部品同士の摺動や組み付けを前提とする場合、初期精度だけでなく経年劣化を考慮する必要性もあります。

使用される主要材料の特性

医療機器の金属加工で用いられる代表的な材料は、ステンレスが最も多く、チタンや難削材なども用いられます。いずれも材料特性を踏まえた工法選定が重要です。

ステンレス
耐食性と加工性のバランスがよく、洗浄性や衛生面にも優れる

チタン
軽量で生体適合性が高いため、医療用途に適した材料。加工時の発熱や工具摩耗が大きく、加工条件の最適化が不可欠

金属系難削材など
耐摩耗性や耐熱性が求められる部位に使用。高機能だが加工難易度が高い。金属のほか、用途に応じて超硬・セラミックなども使用される

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医療機器部品に求められる規格と精度要求

医療機器に用いる金属部品では、一般産業向け部品とは異なる品質・管理要件への対応が求められます。各要件を満たすためには、加工精度だけでなく、生産管理・検査体制まで含めた総合的な対応力が不可欠です。代表的な規格・要件は以下のとおりです。

ISO13485
医療機器・体外診断用医療機器(IVD)に特化した国際的な品質マネジメントシステム規格。設計・製造・検査・記録管理までを含めた品質体制が求められます。

トレーサビリティ管理
材料ロットの識別、製造工程の記録、検査履歴の保存など、部品がどの工程・条件で製造されたかを追跡可能にする管理体制が必要

クリーン度・洗浄要件
加工後の洗浄工程や異物混入防止対策

医療機器に使用される金属部品の種類

医療機器に使用される金属部品の種類

医療機器の内部には、多様な精密金属部品が組み込まれています。用途や機構ごとに求められる精度や加工難易度が異なり、部品特性に応じた加工技術の選定が重要です。

  1. 小径シャフト・ピン類
  2. すべりねじ・リードスクリュー
  3. 筐体・支持部材・治具金属パーツ

小径シャフト・ピン類

検査機器や医療用ポンプには、小径シャフトやピン類が多用されます。これらの部品は細長形状が多く、加工時の曲がりや振れを抑えることが重要です。

特に回転部や摺動部では、真円度や表面粗さが動作の安定性に影響します。小径であっても高い寸法再現性が求められるため、加工条件の最適化や仕上げ工程の管理が不可欠です。

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すべりねじ・リードスクリュー

すべりねじ・リードスクリューは、位置決めや駆動系に用いられています。ピッチ精度や累積誤差が医療機器の動作精度に直接影響するため、高精度な加工が求められます。

また、樹脂ナットとの組み合わせによる静音性やバックラッシュ低減など、機構全体を考慮した設計が必要です。耐久性と滑らかな動作を両立させる点も重要なポイントです。

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筐体・支持部材・治具金属パーツ

筐体や支持部材、治具などの金属パーツは、構造的な剛性や耐食性が重視されます。直接的な精度要求は比較的緩やかな場合もありますが、組立性や洗浄性、安全性を考慮した設計が重要です。

角部の処理や表面状態は、使用環境やメンテナンス性にも影響するため、加工段階での配慮が求められます。

医療機器に用いられる代表的な加工技術

医療機器に用いられる代表的な加工技術

医療機器部品の金属加工は、複数の工程を組み合わせて高精度を実現します。ここでは代表的な加工技術と、医療用途で特に重視される品質ポイントを整理します。

  1. 切削加工
  2. 研削加工
  3. 熱処理・表面処理

切削加工

旋盤やマシニングセンタによる切削加工は、医療部品製作の基礎となる工程です。小径部品や薄肉部品では、加工中の変形やバリの発生を抑える工夫が必要です。

また、表面粗さや加工痕が後工程や使用時の性能に影響するため、仕上がり品質を意識した切削条件の設定が重要となります。

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研削加工

研削加工は、シャフト類などの高精度部品に欠かせない工程です。センタレス研削や円筒研削により、真円度や寸法精度を高いレベルで安定させることが可能です。

医療用途では、研削焼けや微細な欠陥も品質不良につながるため、加工条件や砥石管理を含めた高度な技術が求められます。

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熱処理・表面処理

耐食性・耐摩耗性・非磁性といった特性を付与するために、熱処理や表面処理が施されるケースも多くあります。医療機器では、材料特性を損なわずに性能を向上させる処理条件の設定が重要です。

用途に応じた処理方法の選定が、部品寿命や信頼性に大きく影響します。

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医療機器に用いる部品に対する金属加工上の注意点

医療機器に用いる部品に対する金属加工上の注意点

医療向け部品では、高い精度の維持に加えて量産時の安定性や洗浄性、組立性までを含めた設計が必要になることが多くみられます。設計段階から量産移行までの注意点を解説します。

  1. 寸法公差・幾何公差と加工順序設計
  2. 材料特性に応じた加工パラメータ最適化
  3. 医療機器業界特有の品質保証・検査工程への対応

寸法公差・幾何公差と加工順序設計

医療部品では、寸法公差だけでなく真円度や同軸度などの幾何公差が性能に直結します。加工順序を適切に設計し、累積誤差を抑えることが重要です。基準面の設定や工程分割を含めた加工設計が、最終品質を左右します。

材料特性に応じた加工パラメータ最適化

ステンレスは加工硬化、チタンは発熱や工具摩耗など、加工に伴う注意点は材料ごとに異なります。これらを踏まえた切削条件や冷却方法の最適化が、品質安定とコスト抑制の両立につながります。

医療機器業界特有の品質保証・検査工程への対応

医療機器業界では、ISO13485に基づく品質保証体制が重要です。規定を遵守しようとする場合、部品自体の品質だけではなく、検査工程の充実や工程管理や記録の整備も求められることがあります。

加工技術と品質管理の両立が、信頼性の高い部品供給につながるため、規定に対する理解も重要です。

まとめ|医療機器の金属加工は高精度と品質保証が鍵

まとめ|医療機器の金属加工は高精度と品質保証が鍵

医療機器の金属加工では、精度・清浄性・トレーサビリティといった独自の要求を満たす必要があります。そのため、単なる精密加工にとどまらず、品質保証や工程管理まで含めた総合力が問われる領域です。高い加工技術と安定した品質管理体制を持つ加工先の選定が、製品開発や量産の成否を左右します。

三和ニードル・ベアリングでは、サブミクロン精度の研削加工や難削材対応、ISO13485*1に準拠した品質体制を整えています。医療機器向けの金属加工にも多数の実績がありますので、金属加工でお困りの際はぜひお気軽にお問い合わせください。

*1<適用範囲>非埋植能動医療向け切削化加工金属部品及び射出成形樹脂部品の製造
医療機器事業ユニットにて認証取得 本社兼筑波事業所にて認証取得

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