シャフトと軸受の種類を解説!それぞれの関係性や役割から使い分けの目安とは?

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回転機構にはシャフトと軸受が欠かせません。シャフトにも軸受にもさまざまな種類があり用途に応じて使い分けを行います。軸受単体、シャフト単体で回転機構の性能は決まらないため、各々の組み合わせ方や設計内容が回転構造の寿命や精度を左右します。

本記事では、シャフトと軸受の関係性、種類、設計時の使い分けの目安について整理します。

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シャフトの種類

シャフトの種類

シャフトは動力伝達方式や接続部品に応じて使い分けを行います。主な種類は次のとおりで、動力伝達方式や接続部品に応じて選定されます。

種類 目的 主な用途
段付きシャフト 軸受・ギアなどの位置決め、抜け止め軸方向の基準面確保 ベアリング支持部、減速機、精密回転機構
中空シャフト 軽量化、慣性モーメント低減、配線や冷却などの経路確保 ロボット関節部、サーボ機構、精密搬送装置
スプラインシャフト 高トルク伝達、同心性確保、摺動しながらのトルク伝達 自動車駆動系、産業機械の動力伝達部
セレーションシャフト 歯形による確実なトルク伝達、滑り防止 ステアリング機構、精密駆動部品
モーターシャフト 高速回転対応、振れ精度確保、回転バランス維持 電動モーター、ファン、ポンプ
トランスミッション用シャフト 高トルク・衝撃荷重対応、耐久性確保 自動車変速機、建機・重機の駆動部

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中空シャフト

中空シャフトは、内部を空洞構造にすることで軽量化と慣性モーメント低減を実現したシャフトです。外径を維持したまま質量を減らせるため、回転体の応答性向上や省エネルギー化に寄与します。

また、内部スペースを活用して配線・配管・冷却経路を通せる点も大きな特徴です。ロボット関節部やサーボ機構、精密搬送装置など、軽量化と高応答性が求められる用途で多く使用されます。

一方で、肉厚が薄くなるため曲げ剛性や疲労強度の設計には注意が必要で、使用条件に応じた適切な肉厚設定が重要です。

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スプラインシャフト

スプラインシャフトは、軸外周に複数の溝(歯形)を設けることで、高トルクを確実に伝達できるシャフトです。キー結合と比べて接触面積が大きく、荷重が分散されるため、同心性に優れ、ガタが出にくい特徴があります。

さらに、軸方向に摺動しながらトルクを伝えられるため、位置変化を伴う機構にも対応可能です。

産業機械や自動車の駆動系などで広く使われており、高精度な歯形加工と焼入れ処理による耐摩耗性確保が性能を左右します。

セレーションシャフト

セレーションシャフトは、三角形や台形状の歯形を持つシャフトで、部品同士を強固に噛み合わせることでトルクを伝達します。スプラインより歯数が少なく、締結力を重視した構造が多いため、滑り防止や位置ズレ防止を目的とした用途に適しています。

ステアリング機構や精密駆動部品など、確実な固定が求められる箇所で使用されます。組み付け精度が性能に直結するため、歯形精度や圧入条件の管理が重要になります。

モーターシャフト

モーターシャフトは、電動モーターの回転を外部へ伝える中核部品で、高速回転時の振れ精度やバランス性能が求められます。わずかな偏芯や表面粗さのばらつきが振動・騒音・軸受寿命に影響するため、真円度・同軸度・表面品質の管理が非常に重要です。

ファンやポンプなど連続回転用途では耐摩耗性と疲労強度、サーボモーター用途では寸法精度と表面粗さが重視されるなど、使用環境に応じた加工仕様の最適化が必要になります。

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トランスミッション用シャフト

トランスミッション用シャフトは、自動車や産業機械の変速機内部で使用され、高トルクと繰り返し衝撃荷重に耐える設計が求められます。ギアやベアリングが複数組み付けられるケースが多く、段付き構造や焼入れ処理を施した高強度仕様が一般的です。

耐久性を確保するため、材料選定だけでなく、熱処理後の仕上げ研削や表面硬化層の管理も重要な設計要素となります。長期信頼性が要求されるため、寸法精度と疲労強度の両立が不可欠です。

軸受の種類

軸受の種類

軸受はシャフトを支持し、摩擦を低減する部品です。大きく「すべり軸受」と「転がり軸受」に分かれます。

  1. すべり軸受
  2. 転がり軸受

すべり軸受

すべり軸受は軸と軸受面の間に油膜を形成し、流体潤滑によって摩擦を低減します。構造が簡素で大径・高荷重用途に適し、衝撃吸収性や静音性に優れます。

一方で、油膜形成には回転速度や粘度条件が関与するため、潤滑設計が重要になります。境界潤滑領域では摩耗が進みやすく、材質選定や表面処理が寿命を左右します。

転がり軸受

転がり軸受はボールやころを介して転がり摩擦に変換することで抵抗を低減します。摩擦係数が小さく、起動トルクも低いため、幅広い設備に使用されます。

種類 特徴 主な用途
ボールベアリング 点接触構造で摩擦が小さく、高速回転に適する。ラジアル荷重を主に受けるが、一定のアキシアル荷重にも対応可能。汎用性が高く最も一般的。 モーター、ポンプ、家電機器
円筒ころ軸受 線接触構造で高ラジアル荷重に強く、剛性が高い。ボール軸受より荷重容量が大きいが、アキシアル荷重への対応は形式により限定的。 産業機械、電動機、大型装置
ニードル軸受 細径で長いころを使用し、省スペースで高ラジアル荷重に対応。軸径に対して外径を小さく設計できる。 自動車部品、トランスミッション

このほかにも、円すいころ軸受や自動調心ころ軸受、スラスト軸受などがあり、用途や荷重条件に応じて選定します。

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シャフトと軸受の関係性

シャフトと軸受の関係性

シャフトと軸受はそれぞれが独立して性能が決まる部品ではありません。回転体として、軸になるシャフトと、シャフトを支える軸受、軸受を固定・保持するハウジングなどが組み合わされて各々の積み上げで精度が決まります。

ここでは、それぞれの関係について整理します。

  1. 回転構造の基本構造はシャフト・軸受・ハウジング
  2. シャフト精度が回転精度・寿命を左右する
  3. シャフトと軸受の役割分担

回転構造の基本構造はシャフト・軸受・ハウジング

軸受は荷重を受けるだけでなく、回転中心を規定する部品です。転がり軸受を用いた回転支持機構は、主に3つの要素で構成されます。

シャフト 回転体
軸受 内輪・外輪・転動体・保持器
ハウジング 固定

また、シャフトに加わるラジアル荷重やアキシアル荷重は軸受を介してハウジングへ伝達されます。

シャフト精度が回転精度・寿命を左右する

転がり軸受の基本定格寿命(L10寿命)は、転動体と軌道輪の接触応力分布が均一であることを前提に算出されています。理論寿命とは、同じ軸受100個のうち90個が、転がり疲れ(フレーキング)を起こさずに回転できる総回転数のことです。

しかし、シャフトの真円度・円筒度・振れ精度・同軸度が不足している場合、内輪が偏心状態で回転し、転動体に不均一な荷重が作用します。偏荷重は、接触部のヘルツ接触応力を局所的に増大させ、フレーキングを早期に発生させる要因になります。

さらに、シャフト径公差が適切でない場合、嵌合状態が変化し、軸受内部のクリアランスが設計値から外れることがあります。

内部すきまが小さければ発熱や焼付きの原因となり、大きければ振動や騒音が増加します。

シャフトと軸受の役割分担

シャフトと軸受には以下のような役割分担があります。

シャフト 回転中心の形成、トルク伝達、寸法基準面の提供
軸受 支持、摩擦低減、荷重分散

たとえば高速回転用途では、軸受は低摩擦特性が求められますが、シャフト側は振れ精度や同軸度がより支配的になります。役割を分けて理解することが設計合理化につながります。

設計や製品選定におけるシャフトと軸受の使い分け目安

設計や製品選定におけるシャフトと軸受の使い分け目安

軸受の種類選定だけでなく、シャフトとの組み合わせ条件を含めた検討が必要です。

ここでは、図面設計段階で重要になる代表的な論点を整理します。

  1. 相手公差:シャフト径・ハウジング径
  2. 嵌合:しまりばめ・すきまばめ
  3. 面粗さ:当たり面の表面性状
  4. 硬さ・熱処理
  5. 潤滑条件:油・グリース・無給油

相手公差:シャフト径・ハウジング径

転がり軸受は規格で寸法許容差が定められており、シャフト径とハウジング径の公差域クラスの組合せで、内輪・外輪のはめあい状態が決まります。

実運転時には内部クリアランスが変化するため、相手部品との公差が不適切な場合、振動・発熱・異音などのリスクが増える可能性があるのです。そのため、回転精度を高めるために精度等級を上げる場合は、相手公差の設計も同じ設計思想で設定することが重要です。

嵌合:しまりばめ・すきまばめ

一般的に、回転荷重を受ける側のリングはしまりばめ、非回転側はすきまばめと言います。どちらの輪に回転荷重がかかるか踏まえて、荷重方向や回転条件を検討することが重要です。

しまりばめが大きすぎると内部の隙間が減り、発熱・焼付きリスクが高まります。一方、すきまが大きすぎると微小すべりが生じて空転や振動要因になります。そのため、荷重や温度差、メンテナンス性など使用条件に応じた選定が重要です。

面粗さ:当たり面の表面性状

軸受当たり面の表面性状は、荷重支持の安定性と微小すべりの抑制に関わります。表面が粗すぎるとある点が集中して接触しやすくなり、座面のなじみ不良や摩耗進行、振動増大につながります。

一方、必要以上に表面を整えると仕上げコストの増大につながります。そのため、用途に応じたRa値で管理することが重要です。

硬さ・熱処理

シャフトと軸受が嵌合する部分では、繰り返し荷重と微小すべりが重なるため座面の摩耗やかじりが寿命に直結します。耐摩耗性の確保として高周波焼入れや浸炭焼入れを行うことがありますが、単に硬度を上げれば良いわけではありません。

硬化層深さや母材の靭性、真円度の崩れなどを含めて整合を図らなければ、回転精度の向上が図りにくくなります。

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潤滑条件:油・グリース・無給油

潤滑方式は、回転速度・温度上昇・密封性・保守性で選び分けます。高速回転では油潤滑が有効であり、密封構造や簡易保守が必要な場合はグリースの塗布が一般的です。

また、給油回数を減らすために、自己潤滑系のすべり軸受を使用する場合もあります。この場合は軸受側の潤滑機構とシャフト側の面粗さや硬さ条件の適正化も必要です。

三和ニードル・ベアリングは難加工や高精度加工に強い

三和ニードル・ベアリングは難加工や高精度加工に強い

回転構造の最適化を図るには、シャフト側の軸受双方の性能最大化が不可欠です。三和ニードル・ベアリングでは、社内一貫生産体制を構築しており、研削を含む構造の最適な組み合わせ設計を支援します。

また、難削材や高硬度材に対しても高精度な加工実績があります。

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軸受にコロはほぼ必須の部品

軸受にコロはほぼ必須の部品

転がり軸受の性能を決める重要部品が「コロ」です。内輪と外輪の間に配置されるコロは、荷重を受けながら転がることで摩擦を大幅に低減します。

特に円筒ころやニードルコロのような線接触型では、コロの加工精度がそのまま軸受性能に直結します。

  1. コロの基礎
  2. 軸受におけるコロの役割
  3. コロの製品例

コロの基礎

コロは転動体の総称であり、ラジアル荷重を受け持つ主要要素です。形状により荷重分布が変わります。

ボール 点接触
円筒ころ・ニードルころ・円すいころなど 線接触

軸受におけるコロの役割

ころの真円度や寸法ばらつきは荷重の分布に直結し、ばらつきが大きければ振動・騒音増加の原因になります。特に、直径が小さく細長いニードルころはの場合、限られたスペースで高いラジアル荷重容量を確保できます。

一方で、点接触に比べて接触面積の多い線接触構造であるため、局所応力は低減できるものの真円度や円筒度、寸法公差、表面粗さなどのばらつきの影響を受けやすくなります。

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コロの製品例

コロの加工精度は精密研削が性能安定性に直結します。三和ニードル・ベアリングでは、ニードルコロや円筒コロなどの高精度転動体を製造しています。

小径・細径コロでは、μm単位の外径公差管理やサブミクロンレベルの真円度管理、SUJ2など高硬度材、医療・精密機器分野への供給実績があります。

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シャフトと軸受に関するよくある質問

シャフトと軸受に関するよくある質問

ここでは、シャフトと軸受に関するよくある質問について紹介します。

Q1. シャフトの種類と役割とは何ですか?
Q2. コロは転がり軸受の性能とどのように関連しますか?
Q3. シャフトと軸受はどちらの精度を優先すべきですか?

Q1. シャフトの種類と役割とは何ですか?

動力伝達、位置決め、直動案内など用途により形状が異なり、接続部品や荷重条件も異なります。以下はシャフトの種類と用途の例です。

段付きシャフト 軸受やギアの位置決め・抜け止め
スプライン・セレーション 高トルク伝達
中空シャフト 軽量化・慣性モーメント低減
モーターシャフト 高回転・低振れ重視

Q2. コロは転がり軸受の性能とどのように関連しますか?

コロは荷重を分担する要素であり、外径ばらつきや真円度誤差があると荷重が一部に集中してフレーキングの早期発生や振動・騒音の増大、理論寿命(L10)からの乖離などの不具合を招きます。

特に線接触する円筒コロやニードルコロでは、幾何公差管理が寿命に直結します。また、加工精度の高さも重要です。

Q3. シャフトと軸受はどちらの精度を優先すべきですか?

シャフトと軸受両方の精度の組み合わせが重要です。シャフトと軸受のどちらかだけが高精度でも期待する性能は発揮できません。

まとめ|シャフトと軸受は組み合わせた設計で性能が決まる

まとめ|シャフトと軸受は組み合わせた設計で性能が決まる

シャフトと軸受は、組み合わせ設計で初めて性能が決まります。公差や嵌合、面粗さ、硬さ、潤滑条件を総合的に設計することが寿命と信頼性を左右します。また、軸受に用いるコロの精度も重要です。

そのため、高性能な回転を得たい場合は専門メーカーへの相談が有効です。

三和ニードル・ベアリングでは、サブミクロン単位の研削加工技術を強みに社内一貫生産体制を構築しています。難削材にも多数の加工実績があるため、機器の精度向上を図りたい場合はお気軽にお問い合わせください。

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